安倍晋三首相が本部長を務める教育再生実行会議が24日、首相官邸で初会合を開いた。安倍首相は冒頭「強い日本を取り戻すために子供の教育再生は不可欠だ」と表明。来月にも開く次回の会合でいじめ対策を集中議論し、今月下旬に召集される通常国会で成立を目指す「いじめ防止対策基本法案(仮称)」に反映させる方針だ。「教育の再生」を重要課題の一つに位置付ける安倍政権で、本格的な議論がスタートした。
【教育再生会議】6・3・3制の見直しなど提案
実行会議の終了後、下村博文文部科学相と座長の鎌田薫早稲田大総長が文科省内で記者会見した。いじめ対策について、メンバーから「児童虐待防止法にあるような通告義務が必要」「学校と警察の役割分担をはっきりさせるべきだ」などの提言があった。また体罰について「何が体罰にあたるかガイドラインを示すべきだ」という意見も出たという。
会議は月2回のペースで開催し、いじめ対策に続き▽教育委員会制度の見直し▽大学の在り方▽グローバル化に対応した教育--を議論。その後、学制や大学入試の在り方についても検討する。
いじめ対策を最初のテーマにしたことについて下村文科相は「半年間で15万件のいじめが認知されたことを考えれば、すぐに対処しなければならない」と話した。
実行会議の事務局は文科省内に置かれ、いじめ対策などの連携のため、警察庁▽法務省▽厚生労働省▽経済産業省--から1人ずつ担当者が入った。
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また、下村文科相は記者会見で、埼玉県などで退職手当の引き下げ前に教員の「駆け込み退職」希望者が相次いでいる問題について「できたら最後まで勤め上げていただきたい。ましてやクラス担任など責任ある立場は、最後まで誇りを持った仕事として、まっとうしてほしい」と述べ、関係教委を指導する考えを示した。【石丸整、苅田伸宏】
◇教育再生実行会議
首相官邸に設置された有識者会議。安倍晋三首相が本部長を務める。官房長官、文部科学相らのほか有識者15人で構成。座長は鎌田薫早稲田大総長。尾崎正直高知県知事、蒲島郁夫熊本県知事のほか、財界から佃和夫三菱重工業会長、大竹美喜アフラック(アメリカンファミリー)日本社創業者・最高顧問が参加する。スポーツコメンテーターの武田美保氏、作家の曽野綾子氏が入るなど多彩な顔ぶれとなった。
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