【北京・石原聖】中国政府が海洋監視活動の強化などを目的に関連部局を再編し、監視船を統合運用する「中国海警局」を新設したことが10日分かった。警察にあたる公安省の指導を受けると規定。警察権が付与されたことから、日本の海上保安庁に相当する海上警察組織が発足したことになる。3月の全国人民代表大会(全人代)で中国海警局の設置は決まっていた。 【実際にみてみる】写真特集 写真でみる尖閣諸島 中国の海洋監視は、国家海洋局「海監」▽公安省「海警」▽漁業を監督する農業省「漁政」▽航行安全を担当する交通運輸省「海巡」▽税関総署の密輸取り締まり船「海関」--がそれぞれ実施。再編で、海巡を除く4組織の船舶が「中国海警」に一本化される。 また、実動部隊として北海、東海、南海の3分局に計11の「海警総隊」を置き、1万6296人を配置した。所属船艇は3000隻を超えるとされ、東シナ海、南シナ海に派遣される。 10日付の中国紙・京華時報によると、政府系シンクタンク・中国社会科学院の研究者は「日韓の海上保安機関は準軍事的な力がある」と指摘し「海警には武器が配備されており、周辺国が中国漁民に力をもって法執行すれば、強力な報復措置を取れる」と語った。 沖縄県・尖閣諸島では中国公船の領海内巡視が常態化しているが、中国海警が中国の警察権を行使して日本漁船の取り締まりなどを行えば、次元の異なる日中摩擦に発展することは避けられない。
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